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経済同友会について

筆頭代表理事のご挨拶

筆頭代表理事のご挨拶

筆頭代表理事

(株)足利銀行 取締役会長

松下 正直

筆頭代表理事の写真

令和6年 年頭所感さらなる生産性向上を

 皆さん、新年明けましておめでとうございます。本年も引き続き、栃木県経済同友会活動へのご理解とご協力をお願い申し上げます。

 年頭にあたり、私の所感を申し上げます。
 まず昨年2023年の振り返りですが、5月に「新型コロナ」の「感染拡大防止」のための「経済活動自粛」が終了し、経済活動の「正常化」によって、経済成長率も大きく回復しました。

 合わせて、「賃上げ」も3%台の水準感でしたが、「円安インフレ」をカバーできず、労働者の「実質賃金」は「マイナス」が続いています。これは、一つには春闘決着後に 「新型コロナ」の活動規制解除がされたこと、二つ目は想定以上の「円安」が進行してエネルギーコストを含む輸入物価が上昇したこと、三つ目は「経済規制解除後」に一気に「人手不足」が顕在化したこと、 そして加速要因として、新型コロナで労働供給の「天井」がかなり下がっていたことが挙げられます。

 「実質賃金」はマイナスでありながら、「企業業績」と「政府税収」は順調でした。物価の上昇を消費者に転嫁できはじめているため、見方によっては、労働者から企業への「所得移転」が発生しました。 その結果、「個人消費」は厳しい状況が続いていました。

 今年2024年は、2023年と同様か、それ以上の「賃上げ」が過半数の企業で見込まれ、更には「政府減税」が寄与してきそうです。また、エネルギーや輸入物価の上昇が一巡し、「物価」は低下に向かう見込みです。 従って「物価」も安定してくることから、「実質賃金」はプラスになり、それが個人消費の回復につながると見込まれています。また、企業の設備投資は、「人手不足対応」「サプライチェーン強靭化」 「GX」「DX」等の設備投資が牽引し、堅調な成長が期待されています。その結果、2024年の日本経済は、前半は低調だが、後半にかけて復調するという見方が多いようです。結果、実質成長率は1%程度と 見込まれています。

 そして残念な事ですが、今年は、「輸出」が日本経済の足を引っ張る懸念がありそうです。輸出の主要国である「米国」や「中国」、そして「欧州」の景気は停滞が懸念されているからです。

 「米国」は22年3月以降急速な利上げをしてきましたので、23年後半には「景気後退」が懸念されていました。しかし、「個人消費」が強く、「雇用」も労働参加者の増加で賃金上昇が抑えられ、 インフレ率も減少しています。「景気後退」は避けられそうですが、「減速」していく可能性は高そうです。また「不動産不況」に苦しむ「中国」も、24年度は減速しそうです。一部では「デフレ」懸念が ささやかれています。今後の「不確定要因」は、「円高」と「地政学リスク」といわれています。FRBもECBも24年度は利下げに転じることが予想されます。また今後の「日銀」の金融政策も「正常化」 が予想されており、今後は「円高」が進む公算は大きいでしょう。しかし、過度の「円高」は日本の成長率を押し下げます。また、地政学リスクが悪化していけば、エネルギー価格高騰や穀物価格上昇により、 悪影響は避けられないでしょう。

 日本の消費者物価は、円高が進行すれば、輸入物価を低下させることになるでしょう。一方、「賃金」の影響が大きい「サービス価格」は、賃金上昇に転嫁され、物価上昇が続くと見込まれます。 そのため、今年の日本経済も、2%前半の物価上昇は継続する可能性は高いと見込まれています。従って、「賃金」アップによって「物価」との好循環を維持していくことは大変重要です。

 尚、栃木県の経済は日本全体の経済とほぼほぼ連動していることが、過去のデータから確認されています。日本の経済力とは、「潜在成長率」であり、「潜在成長率」は「労働力」と「設備投資」と「技術革新等」 です。少子高齢化人口減少によって、「労働人口」の増加が難しい中では、適切な「設備投資」と「技術革新等」は、「生産性の向上」をもたらすので、日本経済の成長にあたってはマストであります。 そういう意味で、来年度の栃木県経済同友会の委員会テーマに、「生産性向上」をあげました。とちぎを担う「教育」と地域活性化のための「地方創生」も大きなテーマとして、3本柱で取り組んでいきたいと 思います。

 今後も、皆様方のご支援をいただきながら、郷土「栃木県」が発展し、そこに暮らす人々が幸せになれるよう、経済団体して、引き続き努力していきたいと思います。皆様のご協力とご支援をお願い申し上げます。

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